ホテルのレストランや宴会場などで使われている「OES」というシステムをご存じでしょうか?
ホテル業界では、PMSやPOSと並んで耳にすることがあります。
しかし、ホテル業界に入ったばかりの方や、ホテルのIT担当になった方からすると、
「OESって何?」
「POSとは何が違うの?」
「レストランではどう使われているの?」
「OESが止まると何が困るの?」
と疑問に思うこともあるでしょう。
今回は、ホテル情シスの視点から、OESの基本的な役割と、ホテルのレストラン業務でどのように使われているのかを分かりやすく解説します。
OESとは?
OESは一般的に、
Order Entry System
の略称として使われます。
簡単にいうと、
飲食店やホテルのレストランなどで、注文を登録・管理するためのシステム
です。
例えば、レストランでお客様から注文を受けたとします。
スタッフが注文内容を端末に入力すると、その情報を厨房などへ伝えることができます。
紙に注文を書いて厨房へ持っていく方法と比べると、注文情報をスムーズに伝えられるのがOESの大きな役割です。
ホテルのレストランでOESは何をしている?
ホテルのレストランでは、さまざまな注文があります。
例えば、
- 料理
- ドリンク
- デザート
- コース料理
- 追加注文
などです。
スタッフが注文を受けたら、その内容をOESへ登録します。
すると、その注文情報が厨房側などへ伝わります。
イメージすると、
お客様
↓
レストランスタッフが注文を受ける
↓
OESへ注文を入力
↓
厨房などへ注文情報を伝達
↓
料理を提供
という流れです。
OESは、お客様から受けた注文を、調理する側へ正確に伝えるための重要な役割を持っています。
OESとPOSは何が違う?
ホテル情シスとしてOESを説明するときに、よく出てくるのがPOSです。
どちらもレストラン業務に関係するため、混同されることがあります。
簡単に分けると、
OES=注文を管理する
POS=販売・会計を管理する
というイメージです。
例えば、レストランでお客様が料理を注文します。
スタッフがOESへ注文を入力。
その情報をもとに厨房で料理を準備します。
そして、会計時にはPOSなどを利用して料金を精算します。
ただし、実際のシステム構成や機能は製品・ホテルによって異なります。
OESとPOSが連携している場合もあります。
OESがあると何が便利なの?
OESを利用することで、レストラン業務を効率化できます。
例えば、注文を紙に書いて厨房へ渡す方法では、
「字が読みにくい」
「注文を書き忘れた」
「厨房への伝達が遅れた」
などの問題が起こる可能性があります。
OESを利用すれば、注文情報をシステム上で管理できます。
また、厨房側へ注文を伝える方法も効率化できます。
ホテルのレストランでは、一度に多くのお客様から注文を受けることもあります。
そのため、注文を正確かつスムーズに伝えることは非常に重要です。
OESが止まるとどうなる?
ここがホテル情シスにとって重要なポイントです。
OESはレストランの注文業務に関わるため、障害が発生すると現場への影響が大きくなる可能性があります。
例えば、
「注文を入力できない」
「厨房へ注文が伝わらない」
「端末が使えない」
といった状況です。
レストランスタッフは通常業務を続ける必要があるため、場合によっては紙などを使った代替運用が必要になることもあります。
システムが復旧した後には、手作業で受け付けた注文をどう処理するかという問題も出てきます。
つまり、
OESが止まる
↓
注文業務に影響する
↓
レストランの営業に影響する可能性がある
ということです。
「OESが使えない」はOESの障害とは限らない
ホテル情シスでは、ここが障害対応の難しいところです。
現場から、
「OESが使えません」
と問い合わせが来たとしても、OESそのものが原因とは限りません。
例えば、
- 端末の問題
- LANの問題
- Wi-Fiの問題
- ネットワーク機器の問題
- サーバーの問題
- 認証の問題
- 他システムとの連携
- OES側の障害
など、さまざまな可能性があります。
そのため、ホテル情シスでは原因を一つずつ切り分けます。
ホテル情シスがOESの障害で確認すること
例えば、OESが利用できないという問い合わせを受けた場合。
まず、
特定の端末だけなのか?
を確認します。
1台だけなら、端末側の問題かもしれません。
複数の端末で発生している場合は、
ネットワークやシステム側の問題ではないか?
と考えます。
さらに、
- 他のシステムは利用できるか
- ネットワークは正常か
- 特定の場所だけで発生していないか
- 他のレストラン端末でも発生しているか
などを確認します。
「OESが使えない」という一つの問い合わせから、原因を切り分けていきます。
OESとネットワークの関係
OESを安定して利用するためには、ネットワークも重要です。
OESの端末からサーバーや関連システムへ通信している場合、ネットワークに問題が発生するとOESが正常に利用できないことがあります。
そのため、
OESの問題なのか?
それとも、
ネットワークの問題なのか?
を切り分ける必要があります。
ホテル情シスにとって、アプリケーションだけではなく、ネットワークや端末まで含めて考えることが重要です。
OESと他のホテルシステムとの連携
ホテルでは、OESだけで完結しているとは限りません。
ホテルには、
- PMS
- POS
- OES
- 予約関連システム
- 会計システム
- ネットワーク
- 決済関連システム
など、さまざまなシステムがあります。
そして、それぞれのシステムが連携している場合があります。
例えば、レストランで利用した料金を宿泊者の部屋付けにする場合など、レストラン側の情報と宿泊側の情報を連携する必要があります。
そのためホテル情シスでは、
「OESだけが動けばいい」
ではなく、
「ホテル全体のシステムの中でOESがどのような役割をしているのか」
を見ることが重要になります。
OESの入れ替えは簡単ではない
OESを新しいシステムへ入れ替える場合も、ホテル情シスにとっては大きな仕事になります。
単純に端末を交換して、新しいソフトを入れれば終わり、というわけではありません。
例えば、
- 現在の業務内容の確認
- 新システムの仕様確認
- ネットワーク確認
- 端末の準備
- プリンターなど周辺機器の確認
- 他システムとの連携確認
- テスト
- 現場スタッフへの説明
- 本番切り替え
- 切り替え後のサポート
などが必要になります。
特にホテルのレストランは営業しています。
そのため、本番切り替えの時間帯も重要です。
なぜ夜間に作業することがあるのか?
ホテル情シスでは、システム関連の作業を営業時間外に行うことがあります。
レストランの営業中にシステムを停止すると、注文業務に影響する可能性があります。
そのため、作業内容によっては、
営業終了後
に作業を行うことがあります。
ただし、ホテルではレストランの営業終了時間や営業時間もさまざまです。
そのため、
「夜に作業すればいい」
という単純な話でもありません。
現地スタッフと作業時間を調整し、作業前に確認を行い、作業後には実際に注文などの動作確認を行います。
システムが復旧しても、現場がすぐ通常運転できるとは限らない
OESの障害対応で忘れてはいけないのが、現場業務への影響です。
例えば、障害中に紙などで注文を受け付けていた場合。
システムが復旧した後に、
「障害中に受けた注文をどうするか?」
という問題が発生します。
システムを復旧させるだけではなく、現場スタッフが通常業務へ戻れるところまで考える。
これもホテル情シスの仕事です。
ホテル情シスから見たOES
OESは、単なる「注文を入力する端末」ではありません。
レストランの注文業務を支える重要なシステムです。
そして、ホテル情シスにとっては、
端末
↓
ネットワーク
↓
OES
↓
厨房などへの注文伝達
↓
POSなどとの連携
といった、システム全体の流れを理解することが重要になります。
一つのシステムだけを見るのではなく、ホテル全体の業務の中でOESがどのような役割を持っているのかを見る必要があります。
まとめ
今回は、ホテルで利用されるOESについて紹介しました。
OESは一般的にOrder Entry Systemの略で、レストランなどの注文業務を支えるシステムです。
ホテルでは、OESだけではなく、PMSやPOS、ネットワークなど、さまざまなシステムが連携して動いています。
そのためOESに障害が発生した場合も、OESだけを確認するのではなく、
- 端末
- ネットワーク
- サーバー・クラウド
- 他システムとの連携
- 現場の運用
まで含めて原因を考える必要があります。
ホテル情シスにとって大切なのは、単純にシステムを復旧させることだけではありません。
「ホテルの営業を止めないために、ITをどう支えるか」
という視点です。
レストランで何気なく行われている「注文」という業務。
その裏側でも、ホテルの営業を支えるさまざまなITシステムが動いています。


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